明星スバルは持っている。

 あんさんぶるスターズ!! のニ次創作小説です。スバ+北。スバ北に読めないこともないけど私は+のつもりで書いたのでスバ+北です。結構前に書いてたやつ。楽しかったです!

 

 明星スバルは持っている。俺はそれがなんだかすごく悔しい。

 

 明星スバルは持っている。それなのに、企画の提案書を律儀に俺に見せてくるのが、ときどきすごく酷いことのように思える。お前なら俺に頼らなくたって生きていけるじゃないか。彼はまるで息でもするかのように人に頼るくせにしっかりと自分の足で立っている。俺はそれが憎い。

 

 明星スバルは持っている。だから、ホッケ〜! と呼ぶ声が例えどれだけ歓喜に満ち溢れていたって、太陽のような笑顔が自らに向けられたからといって、その指が頬に触れたからといって、俺は油断なんてしたりしない。……油断なんて、したりしない。だってどうせそれは、俺以外にもやってるんだろう。

 

 明星スバルは持っている。俺は思う。これ以上照らされてしまったら、俺は焼け焦げてしまうのではないかと。でも、それでも俺はその、すべて焼き尽くしてしまいそうな光が別にそこまで嫌いではない。だってその光があまりにもあたたかいから。ずっとずっとその光の側にいたいだなんて思ってしまう。

 

 明星スバルは持っている。やめて欲しいと思う。誰にでも好きを振りまくのはやめて欲しいと思う。せめて俺には振りまかないで欲しい、と思う。だって、勘違いしてしまうではないか。……でも、自分に好きを振りまいてもらえなくなれば、それはそれで複雑なんだろうな、と思う。自分の気持ちがわからなくなって悲しくなる。

 

 明星スバルは持っている。強いふりをして、本当は脆い彼のすべてを包んで抱きしめたいから、それもすべて認めて大丈夫だと笑いたい。涙は流さないで欲しいけれども、もしも涙を流してしまうようなことがあるならば、俺が、俺たちが背中を叩いて涙を拭ってやる。抱きしめてやる。

 

 明星スバルは持っている。引きずり回されるこちらの気持ちにもなって欲しいものだ、なんて口ではなんだかんだと言うくせに、結局引きずり回されるのを楽しんでいる自分が少し意外だ。自分でも知らなかったような自分。俺は、もっと自分の知らない世界を見てみたい。だから、自分で世界を広げながらお前に振り回されるのも悪くはないかもな、なんて。

 

 明星スバルは持っている。そんな明星にとっていちばん近い場所で、共に高みを目指していけるのは、すごいことだな、と思う。俺じゃなくても、俺たちじゃなくても、良かったんじゃないかなんて。何回言いかけたことか。何回思ったことか。それでも彼は俺たちを選んだ。そして俺たちも彼を選んだ。だから今がある。

 

 明星スバルは持っている。彼はいつだって笑顔で限界を超えていく。それがきらきらしくて、まぶしくて、ずるくなって、俺も必死で足掻く。手探りで、それでも確実に。夢を掴むために、もっと、もっと上へ上り詰めるために手を伸ばす。そうやって必死で走ってきた日々のことを、キセキと呼ぶのならば。輝く星々のことを、キセキと呼ぶのならば。俺は、ずっとキセキを追い求め続けると、今ここで誓う。

 

 知らないだろう、明星。俺がどんなに、どんなに自分の持たないものを持つお前に嫉妬し、そして苛立ち、憎みながらも。お前をどれだけ、どれだけ愛しているかなんて!